1. 国際交流基金ロサンゼルス文化センター (JFLA) 助成プログラム
a. 給与支援助成
給与支援助成では、新規日本語コースの立ち上げ、コースの増設、予算削減や閉鎖の危機にあるコース存続の支援のために、最大$30,000まで助成します。地域関係者(教育長、学校長、学部長、校長など)から強い推薦状が提出され、また助成期間後もプログラム継続を約束する応募申請を優先的に採用します。この助成の申請提出期限は毎年4月10日です。
この助成の詳細については、JFLAのウェブサイトをご覧ください。
b. 教材購入助成
教材購入助成は、米国の非営利日本語教育機関・団体が対象となります。申請提出期限は毎年3月15日と9月15日の年2回です。この助成では、教材や文化備品(折り紙、教室でできるゲーム・装飾品など)の購入にかかる経費を最大$1,000まで助成します。これまでこの助成を受けた学校の中には、日本語の書籍を備えた図書室を開設したり、授業にDVDや文化活動の導入を行うなどして、日本語コースの立ち上げや拡大を実現させたところもあります。
この助成の詳細については、JFLAのウェブサイトをご覧ください。
c. 教材購入ウィッシュリスト
継承日本語教育の学習者に適した教材を見つけることは大変難しい作業です。そこで、2018年から2022年にかけてJFLAの教材購入助成を受けた機関・団体が、実際に購入を希望した教材を「ウィッシュリスト」にまとめました。リストは種類別(教科書、図書教材、マルチメディアなど)になっています。継承日本語教育で現在一般的に使用されている教材をご覧いただくことで、継承日本語教育の発展に向けて日々尽力されている保護者や教育関係者の方々の参考となれば幸いです。
Wish List Compilations
d. 助成実績
過去5年以内にJFLAの日本語助成を受けた継承日本語教育プログラム(機関・団体)の一覧です(毎年更新)。このプログラムの詳細については、こちらをご覧ください。
Grant History
2. 国際交流基金日本語学習教材
- 国際交流基金では多くの 日本語学習教材カタログをオンラインで公開しています。
- eラーニングプラットフォーム「みなと」 は日本語を自主学習している方々や、更に向上させたいと思っている方々に適している、いつでもどこでも始めることができる日本語学習プラットフォームです。
- どこでも気軽に日本語の基礎学習をしたい方々には、「メモリーヒントアプリ」がお勧めです。ひらがな、カタカナ、漢字を楽しく学べるアプリです。
- 「ひろがる」はすべてのスキルレベルに対応した、トピックベースの学習プラットフォームです。日本や日本文化についてもっと知りたいという継承語学習者に特にお勧めです。
- 「まるごと」 は国際交流基金がJF日本語教育スタンダードに基づいて開発した教科書のシリーズです。授業に教科書として取り入れると、ウェブにある資料を利用することができます。
- JF USA Digital Libraryはオンライン上で日本語の教科書や絵本などを含む日本に関連した様々な電子書籍を借りることができるサービスです。
3. 教育書籍・リンク集
a. 継承日本語教育
- 奥村三菜子・櫻井直子・鈴木裕子(2016)『日本語教師のためのCEFR』くろしお出版
- カナダ日本語教育振興会 (1997)『継承語としての日本語教育ーカナダの経験を踏まえてー Japanese as a Heritage Language: The Canadian Experience』https://www.cajle.ca/other-publications-%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96%e3%81%ae%e5%88%8a%e8%a1%8c%e7%89%a9/
- カミンズ・ジム(中島和子著訳)(2021)『言語マイノリティを支える教育(新装版)』明石書店
- カミンズ・ジム、ダネシ・マルセル著(中島和子・高垣俊之訳)(2005)『カナダの継承語教育 多文化・多言語主義をめざして』明石書店
- 近藤ブラウン妃美・坂本光代・西川明美(2019)『親と子をつなぐ継承語教育-日本・外国にルーツを持つ子ども』くろしお出版
- 佐藤郡衛他(2020)『海外で学ぶ子どもの教育 日本人学校、補習授業校の新たな挑戦』明石書店
- 佐藤郡衛(2019)『多文化社会に生きる子どもの教育 外国人の子ども、海外で学ぶ子どもの現状と課題』明石書店
- 佐藤郡衛・片岡裕子(編) (2008)『アメリカで育つ日本の子どもたち-バイリンガルの光と影』明石書店
- ダグラス昌子・知念聖美 (2014)『アメリカの継承語教育』
https://www.aatj.org/resources/publications/book/Heritage_DouglasChinen.pdf - デイビッド・C・ボロック、ルース=ヴァン・リーケン(訳 嘉納もも、日部八重子)(2010)『サードカルチャーキッズ』スリーエーネットワーク
- 早津邑子(2004)『異文化に暮らす子どもたち ことばと心をはぐくむ』金子書房
- 箕浦康子(2003)『子どもの異文化体験増補改訂版 人間形成過程の心理人類学的研究』新思索社
- 糸永真帆・勝部和花子・札谷緑(編)(2014)『ドイツ発 つなぐーわたし・家族・日本語』日本文化言語センター
b. バイリンガル・マルチリンガル教育
- 桶谷仁美(編著)(2024)『家庭でバイリンガル・トライリンガルを育てるー親と教師が知っておきたい基礎知識ー就学前を中心に』明石書店
- 桶谷仁美(編著)(2007)『家庭でバイリンガルを育てる 0歳からのバイリンガル教育』明石書店
- 中島和子(1998: 2018)『アルク選書シリーズ完全改訂版 バイリンガル教育の方法 12歳までに親と教師ができること』アルク
- 中島和子(編著)(2010)『マルチリンガル教育への招待 言語資源としての外国人・日本人年少者』ひつじ書房
- 中島和子(1998)『言葉と教育』海外子女教育振興財団
- Cummins, J. (2021). Rethinking the Education of Multilingual Learners. A Critical Analysis of Theoretical Concepts. Linguistic Diversity and Language Rights: 19, Bristol: Multilingual Matters.
- Cummins, J. (1996, 2001). Negotiating Identities. Education for Empowerment in a Diverse Society. Ontario: California Association for Bilingual Education.
- Cummins, J. and Early, M. (eds.) (2011). Identity Texts. The Collaborative Creation of Power in Multilingual Schools. Oakhill: Trentham Books Limited.
- Cummins, H. and Hornberger, N. (eds.) (2008). Encyclopedia of Language and Education. Vol. 5. Bilingual Education. New York: Springer.
c. カリキュラムデザイン
- 奥村 好美・ 西岡加名恵 (2020)『「逆向き設計」実践ガイドブック: 「理解をもたらすカリキュラム設計」を読む・活かす・共有する』 日本標準
- 斎藤ひろみ・池上摩希子・近田由紀子(編)『外国人児童生徒の学びを作る授業実践ー「ことばと教科の力」を育む浜松の取り組み』くろしお出版
- ダグラス昌子 (2021) 継承日本語教育における早期リテラシー発達期における指導法のデザインに向けて: 読みの指導を中心に Japanese as a Heritage Language SIG e-journal Vol.5, https://www.aatj.org/sites/default/files/uploads/JHLJournalVol05.pdf
- ダグラス昌子 (2006) 年少者のための継承日本語教育におけるプロジェクトア プローチを使った合同授業のデザイン. Japanese as a Heritage Language SIG e-journal Vol.1. https://www.aatj.org/sites/default/files/uploads/JHLJournalVol01_0.pdf
- 西岡加名恵(訳)(2012)『グラント ウィギンズ, ジェイ マクタイ 理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法』日本標準 (原本Wiggins, G., & McTighe, J. (2005). Understanding by Design (expanded 2nd edition). Alexandria, VA: ASCD)
- 横溝紳一郎・坂本正(監修・著)(2012)『教案の作り方編』アルク
- Jensen, J. and Sandrock, P. (2007). The Essentials of World Languages, Grades K-12. Effective Curriculum, Instruction, and Assessment. Association for Supervision and Curriculum Development.
d. 指導法・アプローチ法
- 奥野由紀子、小林明子,佐藤礼子,元田Me静,渡部倫子 (2021) 『日本語でPEACE』凡人社
- 奥野由紀子 , 小林明子 , 佐藤礼子 , 元田静 , 渡部倫子 (2018) 『日本語教師のためのCLILL入門』凡人社
- 柏木賀津子 , 伊藤由紀子 (2020) 『小中学校で取り組むはじめてのCLILL授業つくり』大修館書店
- 鎌田 修 , 嶋田 和子 , 迫田 久美子 (2008) 『プロフィシエンシーを育てる~真の日本語能力をめざして』凡人社
- PBLガイドブック(高校版)(2022) 岡山教育委員会 https://www.pref.okayama.jp/site/16/778524.html
- 佐伯夕利子(2021) 『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』小学館新書
e. 評価方法
- カナダ日本語教育振興会(2000)『子どもの会話力の見方と評価ーバイリンガル会話テスト(OBC)の開発 Oral Proficiency Assessment for Bilingual Children』éditions SOLEIL publishing inc.
https://www.cajle.ca/other-publications-%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96%e3%81%ae%e5%88%8a%e8%a1%8c%e7%89%a9/ - 国際交流基金. JF日本語教育スタンダード(2018)
https://jfstandard.jp/top/ja/render.do;jsessionid=9824663A6A43132627BF72C2238E2B96 - 近藤ブラウン妃美(2012)『日本語教師のための評価入門』 くろしお出版
- 中島和子(2001)「第4節子どもを対象とした活用法」牧野成一他(著)『ACTFL OPI入門』アルク 152-169.
- 文部科学省. 外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA.(2014)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm
f. 教材
- 『多読のための無料の読み物』 tadoku.org
- 『NHKスクール実践データベース』https://www.nhk.or.jp/school/data/
- 『NHKスクール多文化・多言語な子どもたちとどう学ぶ-学習支援のツールボックス』https://www.nhk.or.jp/school/cld-toolbox/(対象:幼児から中・高校まで)
- キッズワールド NHK Eテレ こどもポータル https://www.nhk.or.jp/kids/ (Requires Japanese IP address)
- 漢字学習アプリ「たふマルリン」
https://wp.tufs.ac.jp/tufstoday/tufsfeatured/23032201/?fbclid=IwAR2eo88bbsDhZevKnzogJ9o_K8cHBGpXl8Hkb1bZ8Dlj4OqqgaagztKb6_Y - 『本 だいすき!』
https://sites.google.com/view/j-readers/home
4. 言語能力の認定
a. AP Japanese Language and Culture Exam
AP Japanese Language and culture Exam (AP日本語テスト)は、AP 日本語と日本文化コースのフレームワークで定められたスキルと学習目標をどれくらい達成したかを測る試験です。 試験に合格すると大学の単位の一部を取得できるので授業料の節約にもなります。試験時間は約2時間で、試験内容は聞く・書く・話す・読むの4つの分野からなり、選択問題と記述式問題が出題されます。AP日本語と日本文化コースは大学の日本語コースの中級レベルに相当し、通常、高校レベルのクラスを3年履修した後の4年目から受講します。
College Boardのウェブサイト ではサンプル問題や試験の資料など、AP日本語テストに関する詳細や様々な学習リソースが掲載されています。受験を検討されている方はウェブサイトを通して、AP日本語テストの理解を深めるとともに、試験に向けた準備にご活用下さい。詳しくは、スクールカウンセラーにご相談下さい。
b. バイリンガル・バイリテラシーの認定
Global Seal of Biliteracy
The Global Seal of Biliteracy™は、年齢や学校が違っていても、公認のテストでバイリンガル・バイリテラシーの力があることが証明されれば発行される認定書です。米国50州とワシントンDCで認定を受ける人の数が年々増えています。認定を受ける基準はどの州に住んでいても同じ基準が適応されます。この認定を大学の入学願書に入れたり、就職活動で履歴書に入れることができます。継承日本語学校が、認定書にその名前が記載され、学校より認定書を生徒に授与することができます。詳しい情報は、このサイトから入手できます。The Global Seal of Biliteracy™
下記のビデオに認定を受けるための手順の説明があります。
Masako Douglas –継承日本語学校の生徒がバイリンガル・バイリテラシ―の認定を受ける方法 (video, 2022)
State Seal of Biliteracy
この認定は、州から出されるもので、公立の高校に在籍する生徒のみに発行されます。高校卒業時に卒業証書と成績証明書にこの認定が記載されます。外国語は州または学校区の公認のテストを受け決められた基準を満たし、高校の英語の履修証明または英語のテストで基準を満たすとこの認定が受けられます。ただし、認定の基準は州により違います。認定書には、高校の名前が記載されます。現在ノースダコタ州を除く49の州とワシントンDCで認定を受けることができます。この認定は、就職活動時の履歴書や、大学の入学願書に言語力の証明として記載できます。高校でのこの認定につなげるために、State Seal of Biliteracyのプログラムがある州の学校ではプリスクール、キンダー、小学校、中学校でPathways to Biliteracy Awardsを設けているところもあります。詳しい情報は、このサイトから入手できます。Seal of Biliteracy website.
下記のビデオでも、州の認定に関する情報を得ることができます。
AATJ Webinar: The State Seal of Biliteracy, Our Programs, and Me – American Association of Teachers of Japanese
Global Seal of Biliteracy とState Seal of Biliteracyを目標にする目的はいろいろあります:
- 言語学習を奨励するため
- バイリテラシーの力があることが証明するため
- いろいろな言語の価値を認めるため
- 仕事に応募してくる人がどれぐらいの言語力があるかを把握する手段を雇用者に提供するため
- 大学が入学してくる学生に外国語の単位を与えるため
- 労働市場、グローバル社会で役立つ21世紀のスキル身につけた学生を育てるため
- コミュニテイーの複文化・複言語を尊重し、グループ間の関係を強化するため
5. 専門スキルの向上
a. AGPlus
財団法人海外子女教育振興財団が文部科学省の委託を受けて行った、在外教育施設におけるグローバル人材育成のためのプログラム(AG5)から、補習校教師のための研修プログラムを発展させて2022年にスタートしました。世界各地域の補習校のネットワークをベースに、教師相互の交流や、指導技術の向上、運営上の問題に対する意見交換などを定期的に行っています。
下記のAG5のサイトには補習校を含む在外教育施設の関連情報があります。
https://ag-5.jp/about
b. 全米日本語教育学会 American Association of Teachers of Japanese (AATJ) – JHL SIG
https://www.aatj.org/sig-japanese-heritage-language/
JHL SIG (Special Interest Group) は、継承日本語教育の分野での研究成果の共有・普及と、継承日本語教育の推進を目的として設立されました。オンラインジャーナルで、指導案や教材に関する研究論文・レポートの発表を行ったり、SIGのウェブサイト上で学会後の発表論文要旨を掲載したり、さらにはメーリングリストを利用して継承語に関する情報交換やディスカッションの機会を提供するなど幅広く活動しています。継承日本語教育や研究に関心のあるAATJ会員の方であればどなたでも参加可能です。
全米日本語教育学会 e-ジャーナル:
https://www.aatj.org/sig-japanese-heritage-language-ejournal/
c. バイリンガル・マルチリンガル子どもネット Bilingual/Multilingual Child Network
https://www.bmcn-net.com/
「バイリンガル・マルチリンガル子どもネット(BMCN)は、バイリンガル・マルチリンガル環境で育つ子どもが、グローバル時代が必要とするバイリンガル・マルチリンガル人材に育つことを願って、子どもの言語発達や人格形成を支援する有志の会です。異文化の中で子育てを余儀なくされる両親をはじめ、医師、看護師、保育士、教師、指導員、ボランティア、行政関係者など子育てに関わるすべての人を対象としています。」(サイトより引用)
d. 全米継承語学校連盟 Coalition of Community-Based Heritage Language Schools
https://www.heritagelanguageschools.org/coalition/home
全米継承語学校連盟 (Coalition of Community-Based Heritage Language Schools) は2012年に設立され、全米にある地域密着型(コミュニティベース)の継承語学校間の連携と支援、そしてアドボカシー活動を目的とした全国規模の団体です。年次大会やウェビナー、オンラインディスカッションなどを開催しています。
年次大会情報:
https://www.heritagelanguageschools.org/coalition/conference
参加登録と年次大会のプログラムは上記のサイトより、毎年4月半ばからアクセス可能です。
e. 母語・継承語・バイリンガル教育 (MHB) 学会海外継承日本語部会 The Japanese Society for Mother Tongue, Heritage Language, and Bilingual Education (MHB)
https://sites.google.com/site/keishougo/ (現在改装中)
海外継承日本語部会は、MHB学会に所属するSIGで、海外で日本語を継承語として教える現場の先生や、継承語・バイリンガル教育に関心のある研究者の集まりとして、2012年の夏に発足しました。当部会には、補習校や週末学校の先生をはじめ、その運営にたずさわる方々、継承語学習者の調査に関心のある研究者など、多くのメンバーが参加しています。
このウェブサイトは、世界各地に分かれて住むこうしたメンバーの相互支援と、専門家としての能力開発(プロフェッショナル・ディベロプメント)を目的に立ち上げられました。メンバー間の情報交換や意見交換には登録会員によるメーリングリストを使用しています。
注: MHB学会:母語・継承語・バイリンガル教育学会=Mother Tongue, Heritage Language, and Bilingual Education (MHB) 学会。前身はMHB研究会で2018年4月に学会となった。(以上はサイトより引用)
f. 米国北東部日本語教師会 Northeast Council of Teachers of Japanese
http://nectj.org/
米国北東部日本語教師会 (Northeast Council of Teachers of Japanese – NECTJ) はニューヨークを拠点とし、キンダーガーテンからGrade 16までの日本語教師の指導力の向上を目的とした非営利団体です。1992年に発足し、教師の専門スキルの向上を目的としたカンファレンスやワークショップを開催してきました。また、北東部エリアの高校生のための春祭り、俳句コンテストなど、生徒向けプログラムも数多く実施しています。これらの活動の一部はJFLAの支援を受けています。